福岡県久留米市の南、このあたりは、徐々に基盤整備が進んでいるところだ。
水田だけで15haという、大規模経営をしている専業農家の方は、夫婦と甥の三人で、大部分の作業をまかなっている。
冬作の麦が30haもあり、ほかにたまねぎが1haあるから、年間、延べ36haということになる。
「農薬なしじゃ無理でしょう。規模拡大できたのも、除草剤があるからで、もし使うなと言われたら、2haがいいとこだな。昔はがんづめ使って、その他に手取り除草もやっとった。これはすごい重労働だから、もし人を雇っても、高い日当払わねばならん。コメの値段を何倍にもしなきゃでけん」
以前に比べて、農薬散布の回数が少し減ってきた。
一発除草剤や、殺菌、殺虫の混合剤が増えてきたためだ。
「適期散布しなきゃ、たくさんふっても効かん。適期にふれは、最も回数も減らせる。(一発剤など)新しい使いやすいクスリに代わってきたし、うまく使えば、(農薬は)本当に便利なものです」
この農家の方が年間に使っている農薬代は約百万円。
単位面積当たりにすると、多い方ではない。
これも、規模拡大による効果だ。
しかも、その金額の何倍もの経済効果を、農薬がもたらしているわけだ。
この点は、農薬問題を考える上で、けっして見逃してはいけないことだ。