たとえ国内法上の知的所有権保護の程度が十分であっても、権利の執行面が弱いと問題解決がむずかしい。
交渉当初、次の問題が提起された。
(1)法律上、行政上の救済手段の利用を妨げる行政上または手続き上の問題
(2)処罰に必要な証拠の取得を可能にする法律規定の欠落、手続き進行の遅れとかさばる費用および暫定的救済を可能にする法規の欠落
(3)知的所有権侵害に対する犯罪としての処罰および民事的救済が不十分であること(差押えおよび没収品の民事上の損害賠償権の喪失、罰金等に関するものを含む)
途上国では訴訟の結審に10年、15年の期間を要した例が少なくない。
また、知的所有権を侵害したと疑われた輸入品を国境で取り扱う手続きと救済措置も問題とされた。
とくに、途上国では税関での取締りが十分でないとの指摘があった。
さらに、国境で輸入品を取り扱う手続が国内で国産品を取り扱う手続きとくらべて不利な国があった。
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