2015年1月アーカイブ

農民も反省すべき点である。

話が横道にそれたので、元に戻すことにする。

ウルグアイ・ラウンド合意後の農政は、農産物の貿易自由化という嵐の中で、日本の農業が国際競争力を強化して生き残り、自給率を向上し、国民に食料を安定供給しようという内容だ。

国際競争力を強化するためには、経営規模を拡大し、近代的な営農方式を普及させることが必要だというのである。

こうした思考方法は、1980年代に産業界が盛んに主張したことで
もある。

世界で卓越した国際競争力を持つにいたった鉄鋼、電機、自動車などの輸出産業は巨額の貿易黒字に対する海外からの風圧に耐えかねて、農政批判を強めた。

欧米でも同様の現象が顕著となり、議会制民主主義の堕落として問題になっている。

また、自由民主党議員の中で、農村人口の減少と選挙制度の改革や選挙区の再編などにより農林族議員が減少していた。

首相候補と見られる有力議員は、たとえ農村出身者でも
『悪貨が良貨を駆遂する』ように、「先生は偉くなったのだから、そろそろ卒業されたらどうですか」と嫌みを言われながら農林族から排除されていった。

こうした族議員減少の中で農林族議員の主張は先鋭化した。

農民サイドも穏健な主張よりも強硬意見を述べる議員の活躍に期待した。

こうした農民の危機意識が鈴木議員らの活躍を助長した側面もある。

途上国にこのような報復の武器のないことが,先進諸国のガット違反措置の横行を許してきた,との指摘もある。

その他の要因には,もっと現実的な問題も含まれよう。

ガット提訴を行なうためには,ガットに相当精通した法律家が必要であるし,訴えの準備とパネル審議等に人手とコストがかかる。

大多数の途上国には,このような法律家が少ないし,また,コストを支払う余裕がない。

ガット事務局は途上国の提訴について技術的援助を与える用意があるが,これを利用する国は少ない。

以上の要因を米国やECについてみてみると,なるほど両者が提訴をひんぽんに行なう事情がよく読める。

訴訟に関する整った国内の法制度や積極的なアブR チ,過剰なまでの自負心,大市場を擁してのバーゲニソグ・パワーの大きさ,報復の能力,多数の法律家の存在など,条件はそろっており,これに政府当事者の強い意思が加われぽ,ガット提訴を阻むものは何もない。


第4の要因として指摘されているのは,提訴国と被提訴国との相対的な力の差である。

たとえガット提訴の結果勝訴するとしても,相手国にパネルの勧告を実施させるためのテコを有していなければ,同勧告は現実にはなかなか実施されえない。

ガットにはこの実施を強制的に確保するような手段はなく,理事会での議論を通じて国際的な政治的圧力をかけつづけるか(これは後にみるようにかなり有力な武器ではあるが),あるいは提訴国に報復措置をとることを承認するしか手立てがない。

多くの途上国には,このような報復措置をとろうにも,そのための武器がない。

報復措置が有効であるためには,相手国から相当の輸入があって,これを制限することが相手国に痛手を与えるということでなけれぽならない。

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