第4の要因として指摘されているのは,提訴国と被提訴国との相対的な力の差である。
たとえガット提訴の結果勝訴するとしても,相手国にパネルの勧告を実施させるためのテコを有していなければ,同勧告は現実にはなかなか実施されえない。
ガットにはこの実施を強制的に確保するような手段はなく,理事会での議論を通じて国際的な政治的圧力をかけつづけるか(これは後にみるようにかなり有力な武器ではあるが),あるいは提訴国に報復措置をとることを承認するしか手立てがない。
多くの途上国には,このような報復措置をとろうにも,そのための武器がない。
報復措置が有効であるためには,相手国から相当の輸入があって,これを制限することが相手国に痛手を与えるということでなけれぽならない。
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