どの国も自国の競争力が強い分野は適用範囲に加えて自由化を進め、自国が弱い分野は適用除外にしたり、自国の約束からはずすことを望むのがつねである。
しかし特定国のわがままを認めては国際協定は成立し得ない。
したがって、協定作成交渉では、適用範囲の問題を後回しにして、概念づくりを優先した。
協定第1部は、「この協定でいうサービスとはいかなる分野におけるサービスをも包含する」と規定した。
ただし、政府の機能の行使によって供給されるサービスは除かれる。
政府の機能は貿易や自由化の対象となりにくいからである。
他方、「協定の対象となる加盟国の措置」は、「中央および地方政府やその機関がとる措置および政府から委託された権限を代行する非政府団体の措置である」と定義された。
サービス貿易一般協定はほとんどのサービスを包含する。
しかし、サービスのすべてがただちに国際貿易の対象となるのではない。
世界の経済社会の相互依存が深化するにつれ、また自由化が進むにつれて、多くの分野でサービス貿易が増大し、協定の実質的適用範囲が拡大するであろう。
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