2013年10月アーカイブ

防カビ剤は、長く使っているとカビに耐性ができて効きが悪くなります。

そのためアメリカは、DPに代えてOPPやTBZ、イマザリルを使ったのです。

次々と防カビ剤の認可が増えていったのも、数種の防カビ剤を混合して使っているのもこのためです。

複合使用の安全性は確かめられていません。

DPからイマザリルの認可に至る旧厚生省の措置は、国民の安全よりアメリカとの貿易を優先させた結果といえるでしょう。

さらに今もなお、このような毒性の強い添加物をアメリカの圧力に屈して使い続けている日本政府の対応が問題です。

遠くカリフォルニアからレモンを腐らせることなく運ぶためには、防カビ剤の使用が欠かせなかったのです。

DPが使われたアメリカ産レモンの輸入に道を開くために、日本政府はDPを食品添加物に指定しました。

75年、アメリカから輸入されたグレープフルーツやレモンからOPPが発見され、5400tものかんきつ類が廃棄処分される事件が起こりました。

OPPは69年2月、農薬としては失効しており、ましてや食品に防カビ剤として使用することは日本では、認められていなかったのです。

アメリカと日本の輸入業者は、アメリカ産のかんきつ類の輸入を続けるために、DPと同様にOPPの使用を認めるように強く日本政府に要求しました。

輸入かんきつ類の添加物が心配です。

アメリカから輸入されているレモンやグレープフルーツなど、かんきつ類には防カビ剤であるDP(ジフェニール)、OPP(オルトフェニルフェノール)、TBZ(チアベンダゾール)や殺菌剤イマザリルが、塗布されたり噴霧されたり、包装紙にしみ込ませたりして使われています。

そもそも、食品添加物としてこれら防カビ剤の使用が許されたきっかけは、アメリカからのかんきつ類の輸入要求にありました。

1971年、政府はカリフォルニア産レモンの輸入を許可しました。

BHAの取り扱いに関する意見具申(要旨)
昭和57年5月7日食調第15号食品衛生調査会委員長代理から厚生大臣宛
食品添加物であるBHAの取り扱いについて、毒性部会、及び添加物部会の審議結果報告を受け、常任委員会において総合的な審議を行った結果、下記の通り意見を具申する。

BHAは、毒性部会において各種毒性資料を検討した結果、弱いながらもラットに対し発ガン性を示すものと評価された結果に同意する。

BHAを最終食品における酸化防止作用を期待して使用した場合には、ほぼ確実に食品中に残留しているものとみなされる。

(以下略)

公示の施行を16年も延期した99年4月6日になって、一時延期の措置を取り消し、食品への使用を禁止した告示も撤回して、83年以前の状態に戻しました。

バターや煮干しに使用してもかまわないことになったわけです。

旧厚生省はこの180度の方向転換について、「国内外の研究により、許容一日摂取量(ADI)の0.5mg
kgを超えない限り、BHAは人に特記すべき毒性はない」から発ガン性はないといいます。

しかし、「ラットの前胃にガンができたが、人には前胃がないから発ガンしない」という論法でいくと、他の残留農薬や食品添加物の発ガン性実験で、動物実験の結果を人へ適用できなくなります。

またBHAは環境ホルモンの疑いのある化学物質のひとつですから、安全性を再度検討してほしいものです。

同じ種類の菌を見分ける方法のひとつとして、抗原型があります。

たとえば人間の赤血球は同じように赤く丸い微粒子のようにみえますが、A型やB型、あるいはRh十か一かなどと分けられます。

細菌の抗原も似たようなものと考えてください。

腸炎ビブリオの場合は、菌体(0抗原)と外側の殻である葵膜(K抗原)そして運動のための鞭毛(H抗原。

ただし腸炎ビブリオの場合この型はあまり問題にされません)があります。

最近流行している腸炎ビブリオは0抗原が3型、K抗原が6型のもので、03:K6と表示されています。

海産物をたくさん摂取し、しかも刺身など生食嗜好の強いわが国の食習慣もあって、その後長年にわたり食中毒菌の王として君臨してきました。

90年代に入り、鶏卵を主な汚染源とするサルモネラによる事件が頻発し、トップの座を譲ったのですが、98年には前年の2倍の患者(1万2346人)を出し再び1位になりました。

ところが、その時はやった菌がこれまでの腸炎ビブリオとは違ったタイプだったので、細菌学者の注目を集めました。

人の場合はその顔形から個人個人を特定できますが、小さな菌をその姿形だけで区別するのは、ほとんど不可能です。

腸炎ビブリオによる食中毒が流行しているときぎますが、何が起こっているのでしょう。

腸炎ビブリオは、今から半世紀前の1950年に大阪府下で起きたシラス中毒事件をきっかけとして、日本人研究者(藤野恒三郎ら)により発見された食中毒菌です。

患者数は272人、死者20人を出す大事件の原因菌として登場しました。

もともと沿岸部を中心に海水中に生息する細菌で、夏場の海水温が上昇し15℃を超えると盛んに増殖して魚介類を汚染します。

2001年になってビブリオバルニフィカスという菌のことがわが国の新聞でも報道されましたが、この菌などもアメリカではずいぶん前から取り上げられていたものです。

2001年4月にはわが国に輸入されたアメリカ産ソーセージが本菌に汚染されていることが判明し回収されています。

これまでの傾向から見ても、アメリカで問題になっている病原体からわが国だけが無事でいられるとは考えがたいのです。

Ol57のように降って湧いたような騒ぎがリステリア菌で起きず、取り越し苦労に終わることを願っているのですが...。

2000年にはホットドッグを介した集団発生も起こり、同年5月にはクリントン大統領が2005年までに半減させると対策を発表するなど関心の高い菌となっています。

現在のところわが国ではいまだ本症の報告が少ないのですが、本当に少ないのか、それとも多くが見過ごされているのか、注意する必要があると思います。

たとえば92年から独自に0157の調査をしてきましたが、その調査の中では当時も今も大差ない数の0157患者が出ていました。

つまり、世間で騒がれ人々が注視するようになるまでは、すべては水面下で動いていくのです。

このアーカイブについて

このページには、2013年10月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2013年9月です。

次のアーカイブは2013年11月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。