増加する人口の中で、これからお年寄りの数はものすごくふえていくわけでありますが、このことは、もうすでに新聞や雑誌などでいろいろとお聞き及びのことと思いますので、きょうは、高齢化問題についてあまりくわしくお話しする必要はないと思います。
しかし、戦前の過剰人口の問題をうまく解決できた日本として、これから先来世紀にかけて、人口の中でお年寄りの数が非常にふえてくるということについては、十分な理解が必要ではないかと思います。
せっかく長寿になって、高齢まで生きておられる方が多くなってきたわけですから、それらの方々が満足して生きていかれるような形で、日本の社会をつくり上げていく必要があります。
今、あまりに多くの人が、高齢化社会の問題についてお話しいたしますために、とかく、社会保障とか、社会福祉がすべて高齢者のためのものとして理解されるのでありますが、それはそれとして結構なことではありますけれども、私は、先ほども申しましたとおり、子供の数が減り過ぎてきたということが、むしろ心配でありまして、あまりお年寄りのことばかり気にするために、子供を産み盛りの若い人たちの生活がおろそかになり、その人たちに重い税金などの負担がかかり過ぎて、ますます子供を産むことができなくなるというのでは、困ったことだと思っています。